Part5 土呂久を語り継ぐ

野の花館

 「野の花館は、宮崎県の高千穂町土呂久に江戸末期に建てられた古い民家でした。土呂久は鉱毒の村として知られる山の中の集落……。草木や虫や鳥や家畜、そして人びとの命が奪われていく様子を、じっとみつめてきた民家が120キロはなれた高鍋で野の花館としてよみがえったのです」(野の花館のホームページ http://www.nonohanakan.com より)
 土呂久の佐藤幸利さんが家を新築した1992年、古い家の材木が廃棄されると知って、宮崎の親子劇場のグループが「劇場として譲ってほしい」と申しでた。その年の暮、土呂久の古民家は高鍋町に移築され、「日ごろは子どもたちの遊び場。あるとき突然、劇場に変わる」という館に生まれ変わった。囲炉裏にいぶされて黒光りする柱。両腕をまわすのが難しいほど太い梁。昔のカヤ葺き屋根のように高くそった屋根。新設された能舞台。その館を舞台にして、1996年11月に土呂久告発25周年記念イベントや、1998年12月に土呂久鉱山を題材にした創作劇「トチノキに灯はまたともる」(岡田心平演出)が上演された。
 野の花館には、2人の女性患者の友情を毒煙に負けずに生き延びた柿の木に託した紙芝居「十連寺柿」(絵・坂本正直、文・川原一之)が保管してある。イベントの日に演じられ、土呂久を若い世代に伝えている。

野の花館にひびく太鼓の音

紙芝居「十連寺柿」の上演

野の花館で土呂久を伝える創作劇を上演(朝日新聞)