Part5 土呂久を語り継ぐ

海外からの研修生

 アジア砒素ネットワークは2001年から2009年まで、国際協力機構(JICA)の委託を受けて、アジアの国々で砒素汚染対策に従事している政府関係者を招いて研修をおこなった。研修員は毎年3~6人で期間は約1カ月半だった。中国、ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマー、ネパール、バングラデシュ、インドの9カ国から計38人が参加した。
 研修では、砒素の基本理論(世界の砒素汚染、砒素の化学、地下水に溶出するメカニズム、砒素の分析法等)、砒素対策の実践(総合的砒素対策、砒素の食物連鎖、安全な水供給、砒素除去法、患者の健康管理等)のほか、日本の汚染例として、土呂久公害の歴史、裁判の経過、行政による患者救済などを講義した。
 日程には必ず土呂久見学をふくめた。鉱山跡地を見て回ったあと、土呂久山荘で生存患者が被害の体験を語った。こうして宮崎県の山奥のむら「土呂久」が、アジアの砒素汚染対策の原点になっていった。

海外からの研修生