Part4 慢性砒素中毒症

判決も全身の症状を認めた

 土呂久訴訟の判決は、一陣一審と控訴審、二陣一審の3度言い渡された。どの判決も、砒素中毒が全身に多様な症状を引き起こすことを認めた。以下に、宮崎地裁延岡支部の二陣一審判決(1990年3月26日)の要旨の一部を引用する。
 「慢性砒素中毒の症状としては、慢性気管支炎、多発性神経炎、心循環障害、胃腸障害、難聴・嗅覚低下・視野狭窄などをあげることができ、身体の種々の臓器又は組織に多様な障害が出現するのが特徴的である。しかも、症状は、砒素曝露が止んだ後にも持続したり、時間が経ってから出現したりし、皮膚癌や肺癌に至る場合まである。
 原告ら患者18名は、いずれも慢性砒素中毒患者の認定を受けたものである。そして、各人の砒素曝露の状況とその病状などを総合して考えると、原告らは、いずれも、土呂久鉱山から排出された砒素が原因で慢性砒素中毒症に罹患したものと認められる。原告らは、慢性砒素中毒による種々の疾患に苦しみ、うち数名は心不全や肺癌で死亡するに至ったものである。(もっとも、大多数の原告にみられる白内障は、老人性のもので砒素との関連性は認められないし、そのほかにも個別的には、慢性砒素中毒症によるものとはいえない症状もある)」

土呂久訴訟の判決書