Part3 人権回復の願い

土呂久の“歌詠み”

 認定患者が少しずつ増えていくのに、自宅で寝たきりの佐藤アヤさんには、なかなか認定の通知が届かなかった。アヤさんは、不自由な右手にボールペンをはさみ、辛かった体験を手記にし、魂の叫びを短歌に詠んだ。著書「いのちのかぎりー萎えし右手に筆をくくりてー」のあとがきに、こう書いている。
 「他の人は皆んな被害者の集りに行って確かな口で訴えるが、足の利かない私にはそれが出来ない。だから文書で訴えるより他にない。このどよめきに何もかも、思い出すままかいて、かいて書きまくろう。求めよさらばあたえられん、ということわざもあるではないか。曲った右手にペン取れば、痛み、しびれも何処へやら。只もう無我夢中でした」
 アヤさんは“土呂久の歌詠み”として、病床から魂の叫びを発しつづけた。

佐藤アヤさん