Part1 発掘された公害病

専門家による証明(3)

宮崎県の報告書に掲載された肺がん死亡者のケースコントロール調査

 九州大学の倉恒教授は、高千穂保健所管内で昭和34年~44年の間に肺がんで死んだ27人に着目した。調査不能の2人を除く25人の中に、岩戸地区に居住した経歴をもつ者が13人(52%)、土呂久居住歴を有する者が6人(24%)ふくまれていた。ケースコントロール(肺がん以外で死亡した25人を無作為で選んで習慣・職業歴・居住歴などを比較分析)をおこなった結果、次の結論をえた。
「土呂久地区に居住したことは、肺がん死亡と高度に関連しているが、これは居住だけの影響ではなく、土呂久鉱山従事歴と喫煙の影響も考えられる」
 砒素は古くから、がんの発症に関与することが知られている。疫学 (集団に発生する健康被害を研究する学問)によって、土呂久地区に多かった肺がん死亡にも砒素が強く関連していることが裏付けられた。